2011 年 3 月 のアーカイブ

こちら編集部〈15〉 右か左か、それが問題だ

2011 年 3 月 2 日 水曜日
編集長: はあ。
見習い: どうしたんですか、ため息なんかついたりして。
編集長: いやな、ちょっと自己嫌悪に陥ってるんや。
女記者: そりゃそうでしょうね。そんな顔と性格で生きてるんですから。
編集長: こら待て。それはどういう意味やねん。わしの顔と性格は嫌悪して当然やいうんか。
女記者: 遂にご本人が嫌悪したということで、これで全人類が編集長を嫌悪したことになります。
編集長: そうやな、女房子供はとうの昔にって、違うわい。腹立つ奴っちゃな。ふと、そういう気持ちになることは誰でもあるやろ。
見習い: それで何があったんですか。
編集長: まあ、聞いてくれ。この間、会社のすぐ近くにカレー屋がオープンしたやろ。それで早速行ってみたんや。店の中の券売機で食券を買うんやけど、普通のカレー(玉子付)が680円、それにエビフライとかカツをのせると900円になる。
見習い: わりと高いですね。
編集長: そうや。それでわしは普通のカレーにしたんやけど、イスに座るとすぐに店員が「サービスの玉子です」と小さな器に入れた生玉子をカウンターに置きよった。おかしいと思わんか。
見習い: 何がです?
編集長: 何がですて、わしはカレー(玉子付)を680円で購入したんやで。なんぼか知らんけど玉子代も払てるわけや。それを「サービスの玉子です」とはどういうことやねん。サービスと違うやろ。これがただ「カレー」とだけあって、その上で玉子を出すんやったらサービスと言うてもええ。そやないからそんな恩着せがましく言われる筋合いはないと思うわけや。それに、アレルギーなんかで玉子があかん人は、手を付けんわけやから、逆に店にサービスすることになるやろ。
見習い: よくそんな細かいことで腹を立てられますね。それで店の人に言ったんですか。
編集長: いや、さすがにそれは言うてない。けど、そういう細かいことに気づいて腹立てる自分というのに嫌気がさしたというわけや。
女記者: そりゃ嫌にもなるでしょうね。
編集長: そない素直に納得せんといてくれるか。細かいことであろうとなかろうと、おかしいことはおかしいやろ。
女記者: だからおかしいと思えば、その場で注意すればいいんですよ、世直し三太夫さん。
編集長: 誰が三太夫や。それができたら自己嫌悪に陥ったりするか。(パッカーン)い、痛い。ここは叩くところと違うやろ。
女記者: ぼやくだけの意気地無しが開き直ってどうするんですか。勝手に自己嫌悪にでも、ドツボにでも陥ってなさい。
編集長: ド、ドツボ……。
女記者: さ、見習い君、お薦めのイベントの話にいきましょうか。
見習い: 3月はやっぱり雛祭り関連でしょう。
女記者: そうよね。それで問題だけど、雛人形の内裏様とお雛様の位置は、どっちがどっちだか知ってる?
見習い: え、え? どうだったかな。んーと、去年、雛人形の商品撮影をした時は……あ、内裏様が向かって左でお雛様は右でした。
女記者: そうね、今は全国的にそうだけど、昔は関西、特に京都ではその逆だったのよ。今も伝統を重んじて内裏様を向かって右に置くところが少なくないわ。
見習い: へえ、ということは元々は内裏様は右ということですか。
女記者: 古来から朝廷の儀式では、「天子南面して東に座す」というのが正式だったわけ。太陽は東から昇ってくるから、その光を最初に受ける東を上座としたんです。南に向いて東だから左よね。そこが天子が座る場所。その見方というか配置の仕方は町でも同じで、地図で見ると京都は右に左京区があって左に右京区があるでしょ。普通なら変に思うけど、あれも御所から見ての右左なのよね。
編集長: そういうことか。紫宸殿には「左近の桜、右近の橘」があるけど、あれも紫宸殿から見てということやねんな。
女記者: それが現在のように、内裏様が向かって左に置かれるようになったのは、大正天皇の即位の礼の時に、西洋式に天皇陛下が向かって左、皇后陛下が右に立たれたからだそうです。以来、関東圏を中心にその飾り方が一般化しました。(社)日本人形協会では、それを協会加盟店の標準の飾り方としていますが、それぞれの地域や家の伝統を尊重していますから、逆であっても間違いではないとしています。
編集長: そらそやわな。将棋の飛車角やないんやから、反対に置いたからいうて、別に問題はないわな。
見習い: でも、左が天子の席ということは、紫宸殿の例で言えば、橘より桜の方が位が高いということですか。一応国の花ということにもなってるし。
女記者: さあ、それはどうかしら。どっちの位が上とかより、左右で一対という感じじゃないのかしら。
編集長: せやけど左大臣の方が右大臣より位は上やろ。やっぱり左の方が偉いんやで。右京区の人より左京区の人の方が偉……(グワッシャーン)あ、頭の、さ、皿が……。
女記者: ほんとにもうどこまで馬鹿を言えば気が済むのかしら。こんなのはほっといて、私は3月12日(土)・13日(日)の「富田林じないまち雛めぐり」をお薦めします。ここは江戸時代からの町並みが残るところで、100カ所近くの民家や商店で雛人形が飾られます。「ええもん市」とかいろんなイベントもあって楽しめますよ。
見習い: 僕は京都の宝鏡寺の春の人形展(3月1日〜4月3日)をお薦めします。由緒ある雛人形や皇女・和宮ゆかりの絵巻物などが展示されます。
編集長: わしは3月21日(祝)の日本橋ストリートフェスタ2011に行こかな。メイドさんのパレードがあるし、可愛くて面白いよしもと発のガールズユニット「つぼみ」のライブもあるそうや。
見習い: ……(まさかメイドパレードに参加する?)。
女記者: ……(いつかきっと捕まるわね)。